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2007.07.18 (Wed)

■千夜一夜物語_パラレルエロ01 

「さぁ、自分で脱げ」 王は意地悪そうに笑った。

More・・・


王は意地悪そうに笑った。
胸元をかき合わせたシェヘラザードが泣きそうに唇をかみしめる。

「神の名の下の誓約だ、証はされねばならない」

残酷な厳しい物言いに、少女は観念した。




一枚、一枚と床にすべりおとし、少女は着ているものを全て脱いだ。
男性の目に触れさせた事のない肌が桜色に上気する。
かたちのよい、小ぶりの乳房。白く夜に浮かぶ滑らかな肌。
王の目が情欲にぬめって自分の裸体にからみつくのを、気が遠くなるような思いで彼女は耐えた。

上目遣いにおそるおそる王を伺うと、赤い唇をゆがめて笑っている。

「もう…よろしいでしょうか…?」

少女が言うと、彼は一層愉しそうに目を眇めた。

「なにがだ」

「証は…成ったと…」

「…馬鹿を言え」

王の生々しい声音に、はっと顔をあげる。
王はいつのまにか、目の前に立っていた。

軽々と抱き上げられ、褥に運ばれ、放り投げられる。
はずみで大きく開いてしまった脚に、慌てて少女は起き上がった。

「閉じるな」

怖い声の命令。

「つきのもののあかしは、そこを確かめねば成らぬではないか」

含み笑い。
シェヘラザードは青ざめた。

「安心しろ、犯しはしない。賭けだからな… しかし」

「…この中に、月の物をかくす手立てが講じられていないかは確かめねばならぬ」

王の手が、少女の足首を掴み、折りたたむように掬い上げた。
悲鳴。

一番恥ずかしいところを、一番いまいとおしいと思っているひとに。

(―――――――――――――!!)

王の指がそこを探る。少女は全身に火がつくかのような羞恥に燃えた。
確かめるのは口実だということを隠しもしない王の淫らな指は、
シェヘラザードの未成熟な突起をゆっくりと撫で、いたぶった。
はじめての感覚、そこをさわられることで、そんな感触を味わうとは全く知らない少女の…恐慌。
王は、息を荒くして、少女を押さえ込み、焦らず飽かず同じ場所を弄び続けた。
愉しい。花嫁にして、すぐに犯してしまうよりも愉しい遊びに思えた。

「…おや、どうしたことだろう……」

意地悪な、笑い声。

「俺の指が…濡れてしまった」

見詰め合う。
シェヘラザードには王が何を言っているのか、わからない。

「…しらないのか……」

王は、少女の無垢に驚き、しばし感動するような思いにとらわれた。
そのまま、どうしてこれほど、と思うような、残酷な気分になる。
指を這わせ、淫猥な音をひびかせると、王は少女の耳に口をつけて囁いた。

「聞け…このいやらしい音を。教えてやろう、女は男を欲するとここをこのように濡らすのだ。
おまえの体はいま、俺を求めてくちをひらきはじめている………妻でもないくせに」

触れられた部分から痺れるような官能と、自分の体の変化、
王の蔑みに満ちた視線と声音が少女を深く傷つけた。
かぶさってくる王の胸に手をつっぱり、弱々しくおしのけようと首を振る。

「ちがいます…そんなみだらな」

…ではこの体はなんとする。せつなそうに乱れるその息はなんだ。
なぜそんないやらしい顔をして俺を見る。思い出せ…

俺に抱かれたあの夜の花嫁とおまえのいまの痴態はどこが違う。


(浅ましい、おんなめ………)


(おやめください――――――――――――――――――――――)

少女は噎び泣いた。かなしくて、苦しくて。
王はかまわずシェヘラザードを弄び続ける。
大きく開かされた白い脚が、淫靡に跳ねた。

こんなはずではなかった。花嫁でもないのに、こんなふうに。

王の指がぐるりと、そこをなぞるように蠢いた。
ゆっくりと、押し入ってくる異物感。
シェヘラザードはびくりと腰をひき、かすれた声をあげ、
わずかに染みる痛みに顔をしかめた。

はじめて、他人の手でそんなところを触られる異常事態。
王の指が、からだのなかで。

王は、自分の目が火を噴きそうなくらいに熱くなっているのを感じた。
たまらない。

( あ… ―――――あっ )

さらにゆっくりと、出し入れが繰り返される。
別のところに触れられていたときほど強い刺激ではないが、
それが指を男根に見立てた、まぐわいを模した行為であることに気付き
シェヘラザードを恐慌に陥れた。
王は愉しそうに含み笑いをもらした。


「……どうした、 ん…―――――――」


( そんなに締めるな……… )


おまえのここは…………  
とても、使い勝手がよさそうだ。

…とても―――――――――――。


悪魔のように、残酷に美しく笑う王。こんな際でも、王をこんなにも。
少女の心臓がやぶれそうに痛んだ。

いやだ…。 いやだ、こんなのは嫌だ…。

涙に濡れた目で唇を引き結ぶと、シェヘラザードは力を振り絞って足をひき、
思い切り王の肩を蹴りつけた。
シェヘラザードをいたぶるのに夢中でふいをつかれた王が、
思わず体を浮かせて褥に手をつき、少女の体から手を離す。

少女はその隙をついて王の下から這い出し、
肩で息をしながら強い目で王を睨んだ。

「証は…っ、もう、なされていますっ…」

涙がこぼれる。少女は震えながら脱いだ衣をかき寄せ、胸に抱き、
ほぼ全裸のそのまま、くるりと踵をかえし駆け出した。
王は、あっけにとられて逃げ去る少女を見た。

(逃げた…)

王である自分に蹴りをくれて。
快感にむせんでいたはずの女が。それをふりきって。

( あなた…… )

かつての正妃と、妃たちの乱交。
下男をひきいれ、痴態の限りを繰り広げていた肉欲の女たち。
気付けば血みどろの肉片の中、ひとり立ち尽くしていた。

その後の2999人の花嫁も似たようなものだった。
処女であっても己に抱かれて喘ぎを覚えれば、そのうちに体は解ける。
体が解ければ、心も解ける。
女などみなそんなものだ。

だから殺した。殺し続けた。

………なのに。

快感から逃げた。あんなちっぽけな少女が。

王は知らず、唇を引き結んで、シェヘラザードの消えた方角を見つめた。
心の中の衝撃の理由は、彼にはわからない。

22:30  |  千夜一夜CM  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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