2007.08.07 (Tue)
■似非カメラマン 敦 賀 蓮
■キョコ視点(オチあり)
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「敦賀さん、今月お誕生日ですよね、おめでとうございます!」
事務所で偶然会った敦賀さんにそう言うと、
彼は破顔して、有難う、と言った。
「……それで、ですね、お誕生日のプレゼントをと考えたのですが、
私、男のかたの欲しいものというのが全然わからなくて…」
まさか呪い人形とか差し上げるわけにもいかないし、
お弁当は普段からちょこちょこ差し入れているし…。
「……何かほしいものはありませんか?」
聞くと、敦賀さんは、そんなに気を遣わなくていいよ…といいながら、思案顔になった。
「………ああ、でも一つどうしてもほしいものならあるかな……」
社さんと顔を見合わせて笑いあっている。
彼は、私の方に向き直ると、少しだけ身をかがめて
「………君の、オフ一日の時間と体………」
囁くように言った。
またそういうエロくさいいい方をする。
何ですか?というと、社さんが笑いながら、最近こいつ一眼のデジカメ買ってさ、
カメラマン気取りでなんでも撮影したがるんだよ、と言った。
それと私とどういう…?と思っていると、敦賀さんがニッコリ笑った。
「………最上さんもモデルになってくれないかな?」
*****
次の私のオフに、ちょうど敦賀さんの半日オフが重なっていたので、
午後から事務所で待ち合わせた。
誘われるままに敦賀さんの車に乗り、ドライブに出かける。
「………どこで撮るんですか?」 と聞くと、内緒、と言われた。
果たして、着いたところは都心から離れた、郊外のリゾート地だった。
車から降りて、山道を行く。整備されてはいるけれど、
充分自然が残されていて、道を一歩はずれれば、
軽井沢やコーンの森をどこか彷彿とさせる雰囲気があった。
わあ、と心が浮き立つ気分。小さな沢に水が流れていた。
しゃがんで手を浸すと、とても冷たい。
カシャ、と、シャッターを切る音がした。
振り返ると、敦賀さんが笑っている。
(………………………)
「………最上さんは本当に………」
(……可愛いね……)
ファインダーの向こうで、敦賀さんがやさしく言う。その笑顔にびっくりした。
突然とらないで下さい、びっくりします、と言いながら、
なんとなく赤くなった頬を引き締める。
そのまま、遊歩道を二人並んで歩いた。
「……着いた、ここだよ」
やがて、敦賀さんが指さしたのは、瀟洒なリゾートホテルだった。
最上階のスイートに通されて、何となくおじ気づいている私がいる。
敦賀さんはそんな私をしってかしらずか、軽く背に触れるようにそこへ促した。
硝子にへだてられた部屋の一隅に、小さくてお洒落なプールがあった。
大きな花瓶いっぱいに、ピンクと白の花が投げ入れられ、
水面には、色とりどりの薔薇の花びらが浮かんでいた。
…思わず両手を握り合わせてうっとりしてしまう。
白を基調とした繊細なインテリアで設えられた部屋の中も、この風景も、
私のメルヘン魂を著しくゆさぶる。
隣の敦賀さんを見上げると、ニコニコしていた。
「敦賀さん、私の誕生日じゃありませんよ、どうしてこんな」
「………こういう雰囲気で最上さんの写真が撮りたかったんだよ」
何の下心もない神々しい微笑みで言われ、ちょっと俯いてしまった。
***
「……ねえ、最上さん、カメラマンごっこしようか……」
敦賀さんは、悪戯っ子みたいに片目をつぶって、笑った。
「…俺がカメラマンで、最上さんがグラビアアイドル………成り切って」
ぐ、グラビアアイドル!!!!!????
そ、そんなの無理ですっ
「…………演技の勉強にもなるし」
言われると、ぴくりと反応してしまう。
「……基本的に演技って、自分以外の誰かに成るって事だから、
役者として働いていくなら、自分がその役柄の要素を持っている、いないに関わらず
表現できるようになってしかるべきだよ?」
真剣な顔をした敦賀さんに諭されると、成る程…という気になる。
「……そう…です…か」
そうなんだろうか……。
いや、敦賀さんが言うんだからきっとそうに違いない。
そういうことならやってみます…と意を決して言うと、敦賀さんはにっこり笑った。
「……俺もカメラマンの役ははじめてだから頑張るね、…きっと楽しいだろうな」
ほんのちょっと、何かの気配が掠めた気がして彼を振り仰ぐと彼は神々しく微笑んでいた。
気のせいかな………。
「…………」
〓〓〓
敦賀さんが用意してくれた水着は、私好みの白いレースでおおわれた………
…………ビキニ、だった。
しかも、ショーツと背中は紐…………。
つ、敦賀さあん、と情けない声をあげると、敦賀さんはにっこり笑って、
こういうのもあるよ、と、豹柄の、大事なところが全然隠れてないきわどい水着をかざした。
( あの…っ、あのう……これ、敦賀さんが、買ってきたんでしょうか……)
…おそるおそる尋ねてみると、その問いは完全に無視された。
着替えて、プールサイドに腰をかける。
敦賀さんはカメラをいじっていた。
ブラのひもが気になって、何度も探る。
「 そんなにナサケなさそうな顔をしないの 」
敦賀さんが、じゃ、水(じつはぬるめの温水)に入ってくれるかな、と言った。
シャッターが切られる。
なんだか、不思議な感覚。
「 最上さん、こっち向いて… 」
プールサイドに膝をついて、敦賀さんは手で水をすくい、私に軽くかける。
きゃ、と言って目をつぶるとそこを撮られた。
敦賀さんの目が、ファインダーに隠れて見えないのに、なんとなくほっとしている自分がいる。
サイドの敦賀さんの元に寄る。上から、覗き込まれた。
「………かわいいね――――――――――――――――」
敦賀さんは、カメラマンの先生よろしく歯の浮くような事を言った。
ごっこが始まってるんだとわかっても、思わず赤面してしまう。
敦賀さんの手が伸びてきて、肩紐をするりと解いた。
「…あ――――――――――――………や……っ」
あわてて、胸元を押さえる。
敦賀さんがその姿も撮る。
「 駄目です、そんな…… 」
くくりなおそうとすると、手をおさえられる。
「 直しちゃ駄目 」
敦賀さんは、カメラをちょっと下げた。
「………グラビアアイドルは、見る男に欲情されてなんぼだよ」
指で、顎を持ち上げられる。
敦賀さんのきれいな顔が正面から私を見た。
「………あっ」
「………さあ、アイドルらしく、俺を誘ってご覧。誘惑して、欲情して、
俺を君に堪らない気持ちにさせてごらん」
顔がカメラの陰にかくれる。
ファインダーごしの視線。先程からほんの少しづつ乱されている姿と心に、
私でないわたしという女が目覚めるような気がした。
「……サイドに…寝そべって」
仰向けに寝て、敦賀さんを見る。 どうしてだろう、なんだかとても…どきどきしはじめた。
カメラマンの敦賀さんを見つめて喉を反らせる。
彼が近づいてきた。
「………いいよ……興奮する……」
多分、直接敦賀さんの目をみないですむことが、私を大胆にしていた。
熱い。
シャッターをきる音。
体を動かすと、敦賀さんが甘く褒めてくれる。
もっと、どきどきする。
膝をたてて、それごしに敦賀さんを見つめて、誘うように舌で唇を舐めると、
彼の動きがすっ、と止まった。
「………凄く……すごいね」
近づいてくる。少しだけ、彼の声が潤んでいるような気がした。
「………そのまま、ベッドに移動して… 」
素直に従う。濡れたままで、といわれて、少し躊躇ったけれど、
言われた通りにした。
仰向けで、寝転がる。敦賀さんはカメラを下げて、ベッドの上の私を覗き込むようにして、
形の良い指で私の唇をなぞった。
じん…と痺れた。
淫らに誘うおんなの役なら………私は、敦賀さんの指を舐めて……小さく吸った。
(………あ………)
敦賀さんの指がふるえ、頬が、僅かに染まった。
もう少し、大胆に、指をくわえる。
「…………わるい……子だ」
敦賀さんはベッドに腰をおろして、さらに近く私を覗き込んだ。
甘い息がかかる。
「……………これ、取っちゃおうか……」
水着のショーツの紐を摘んで、ゆっくりひく。
私は、なにがなんだかわからなくなって、でも時折光るフラッシュに、
ごっこが継続していることを知らされて。
気がつくと、一糸纏わぬすがたになっていた。
(………え………?)
ようやく、何かがおかしい…と気がつく。
「…………可愛いね……綺麗だ、もっと拡げて…見せて。」
「………敦賀さ………」
「………大丈夫だよ…、怖がらなくても………」
彼はやさしく微笑む。
「…………ほんのちょっと………」
よく見ると、敦賀さんの指が、私を。
さっきから甘く痺れるような快感は、彼が私に。
「………先っぽ入れる…だけだから………」
「!!!!!!」
彼は、いつの間にくつろげたのか、そこから彼自身を掴み出すと、私のそこにあてがった。
「………しー……、大丈夫、先っぽだけだよ…………」
熱いものがそこに触れる。自分たちが、ひどく淫らなことをしているのはわかった。
(………ああっ………)
何かが、敦賀さんが、言葉通り少しだけ入ってきた。
(うそーーーー!!!)
入口に、生々しく感じる、敦賀さんの。
彼を見上げると、いつの間にか彼は、夜の帝王にすりかわっていた。
いっ……いやあああっ!!!!! な、なんでええええええ!!!!
驚愕に、青くなったり赤くなったりしていると
「…………入れちゃった」
夜の帝王は淫靡に笑って、カメラを引き寄せた。
「な…………」
「………記念撮影………」
そんな、だ、ダメえ!!
のけ反って逃げようとすると敦賀さんは、そんなふうにしたら、
もっといやらしい写真になっちゃうよ、と笑った。
いくつか、シャッターが切られる。
そ、そんな…こんな、どうして……いったい。
「………さあ…、いい写真撮らせてもらったし、そろそろ許してあげようかな――――………あれ?」
彼は、含み笑いを漏らした。
「………最上さん、そんなふうに、いやらしく吸い付かないでくれないかな………
抜けないよ………?」
甘い声、甘い、吐息。
先だけつながったそこが…………
「…………あ………ほら、そんなキツクして…奥にどんどん飲み込まれるよ…。
もしかして、欲しいのかな…?」
ちがっ………うそ、うそつきっ、敦賀さん、最初っから、そのつもりで……あ…
熱い、やけどしそうな熱くて、かたくて、おおきいものが、ぐっぐっと私の中に入ってきた。
初めてなのに、それまでにひどく高ぶっていたからか、それほどの痛みはなかった。
そのかわり………。
(………あ…っ、 あ あ………… んっ……………)
私は腰をよじって敦賀さんを迎えいれた。
( あーあ…… ―――――ぜんぶ、入っちゃった………――――――――― )
淫らな粘液の音がひびいて、官能に火がつく。
いや、それはもうすでに、否応なく着けられていたのだ。
言葉で、物腰で。敦賀さんに…………。
「………え、演技だなんて……ごっこだなんて、嘘………だったんですねっ」
リズミカルに激しく揺さぶられて、跳ねる声で責めると、彼は笑った。
「………信じるほうがどうかしてる」
ひどい。
くやしくて睨みつけると、彼は夜の帝王の仮面をはずして、淫靡な神々スマイルを浮かべた。
「……誕生日プレゼント有難う。どうしてもこれがほしかったんだ。一生大切にするね」
くちづけをしながら…………。
敦賀さんは私の脚を大きく開き、堰をきったように激しく抽送をはじめた。
(…………あ――――――――あ、堕ちる………)
私は、この、お腹を減らした美しい蜘蛛に捕まってしまったのだろうか。
中心に穿たれた熱いかたまりから、快感がうねり、私を犯す。
私は、私をおかしくするその刺激に翻弄されながら、
蜘蛛の糸に囚われるように、甘い声をあげて敦賀さんにきつく、しがみついた……。
*****
「………………――――――――――」
…………毎度、すみません。
俺は、ベッドの中で切ない気持ちで寝返りをうった。
もちろん、夢ですよ。
妄想の類ですとも。
このSSの副題は……ネタばれになるから言わなかったけれど、
『妄想敦賀君2』 なんだそうだから。
現実が、こんなにうまくいくのなら、誰も苦労はしないだろう…。
……でも、今回のはなかなか良かった。
また使おう。 (←どんだけ)
あの子は、俺が毎夜あの子を妄想してこんな事に耽っているなんて
思いもしないんだろうな。
そう考えると、少し虚しい罪悪感が去来する。
(…………ネ申さま………が、いるなら)
(……はやいとこ、一つお願いします……)
………そうして俺は今夜も股間の蟠りを解消して、眠りについた。
<おわぢ>
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